─────石田三成以上の参謀はおらぬ

 先刻そう言い交わしたばかりなのに、何故このような状況になっているのかは解らない。
 
 
 内殿の奥まったところにある、太子曹丕の閨。

「─────あぁっ・・・はぁっ・・・」
 
 牀榻(しょうとう)の上でうつ伏せになりながら、三成は腰を高く突き出していた。
 ぐちゅぐちゅと、後孔から曹丕の指が抜き挿しされる音が漏れる。

「んんーーーっ・・・」

 中を左右に広げられ、穿つ指が三本に増やされる。
 関節の骨で奥にある一点を強く押されると、三成の口から悲鳴のような嬌声が突いて出た。内襞が指の動きに合わせ、まるで意思を持っているかのように小刻みに蠢く。

「もう、よいな」
 
 そう言いながら、曹丕は指を引き抜いた。急に体内を空にされる感覚に、三成は身を捩じらせる。

「・・・・・おい、まさかっ・・・」
 
 ぐい、と腰を掴まれた。首だけで振り返ると、取り出された曹丕のものが目に入る。
 それはもう、完全に勃ち上がっていて。
 
 息を呑む暇もないまま、あてがわれたそれが突き込まれた。

「あっ・・・ああッ!」

 散々慣らされた内部は、一瞬拒もうとして硬直する。
 だが、少しでも痛みを楽にしようと身体の力を抜くと、中は引き込むような動きに変わった。

「・・・くぅっ・・・・・」
 
 くびれの部分を過ぎたら、後は一気だった。
 
 最奥まで一杯に埋め込まれ、三成は荒く呼吸を紡ぐ。あまりの質量に腹部が苦しい。
 不規則に内壁が収縮し、その生々しい形を意識せずにはいられなかった。

「─────フ・・・『悦い』のか?」

「ひっ」
 
 つう、と臀部を指で撫で上げられ、三成は躯を震わせた。言いようのない羞恥に、消えてしまいたくなる。

(・・・・・こんな卑猥な姿・・・誰にも見せられん)
 
 混濁する意識の中、三成はそう思った。
 
 顔馴染みの配下にも、勿論秀吉様に幸村、兼続、そして清正や左近にも。
 自分が男を咥え込み、悦がっていると知られたら─────考えただけでも矜持が挫かれる。
 
 だが、もう、引き返せない。

「・・・・・動くぞ」
 
 そう囁いて、曹丕は自身を入り口付近まで引き出す。そのまま一気に三成を貫いた。

「んッ・・・あぁっ・・・」
 
 奥まで抉られ、何度も内側を擦られた。抜かれそうになっては粘膜が外界へと引っ張り出され、中に入って来る度に締め上げてしまう。
 愉悦に溺れそうになるのが怖くて、三成は敷布の晒を握り締めた。

「・・・そう・・・・・ひっ・・・」
 
 切れ切れに名を呼ぶと、後ろから抱きかかえられた。乳首に手が伸ばされ、捏ねるようにして押し潰される。

「あっ・・・はぁッ、んっ・・・・・」
 
 爪を立てられると、一層下肢に快感がわだかまった。
 背筋に口づけを散らされる度、肌に触れるさらさらとした髪の感触にすら、躯が反応してしまうのが分かる。

「ひっ・・・あッ、あぁッ・・・」 
 
 体内を占める熱と大きさに翻弄されながら、三成は昇りつめて行く。
 それに合わせ、曹丕の動きも次第に激しさを増した。パチン、パチン、と互いの肌がぶつかる淫らな音が響く。

「・・・出すぞ」
 
 そう掠れた声で囁かれた瞬間、三成は声を上げて自身の欲望を放っていた。きつく中のものを弛緩してしまい、曹丕が息を詰めるのが分かる。

「─────ああっ・・・はあぁんっ・・・・・」
 
 最後の一突きを打ち込まれたのと同時に、ドクリと奥で熱い鼓動が弾ける。注ぎ込まれる白濁を受け止めながら、三成は下肢が充足感で満たされるのを感じていた。
 体重をかけてきた曹丕が下顎を掴み、快感に濡れた三成の唇を塞ぐ。
 
 もっと、もっと、感じさせてほしかった。
 
 たとえ一時の房事に過ぎないとしても、今は確かに、愛されているのだと。






 

−参−